甘酸っぱくジューシーな味わいのさくらんぼは、大人から子どもまで人気の果物。そんなさくらんぼを、日本のどこよりも多く栽培しているのが山形県です。山形県では明治時代からさくらんぼ栽培が行われ、佐藤錦を筆頭に個性豊かな品種たちが数多く育てられています。
そこで今回は、山形県で育てられている美味しいさくらんぼの味わいや、旬の時期について詳しく紹介します!品種ごとに、甘さや果肉の食感などの特徴がそれぞれ異なるので、抜群のさくらんぼを選んで、ぜひ自宅でプチ贅沢を楽しんでくださいね♪
山形県の美味しいさくらんぼ品種
国産さくらんぼの中で最も多く栽培されているのは、佐藤錦です。山形県におけるさくらんぼの栽培面積のうちおよそ75%を占め、知名度・人気共にトップラインを走り続ける主力品種となっています。
しかし山形県では、佐藤錦以外にもたくさんの美味しいさくらんぼが育てられており、佐藤錦に負けずとも劣らない味わいを持つ品種も誕生しています。では実際、山形県ではどんなさくらんぼが育てられているのか、品種ごとの特徴を詳しく見ていきましょう!
”さくらんぼの王様”佐藤錦
佐藤錦は、さくらんぼ品種の最高峰で、その優れた食味と外観の美しさから「さくらんぼの王様」と呼ばれている品種です。大正時代に山形県で誕生して以降、現在まで日本のさくらんぼを代表する人気品種として活躍しています。
そんな佐藤錦の味わいは、酸味が少なく上品な甘みが特徴で、程よい歯ごたえのある果肉は非常にジューシーです。一粒頬張ると果肉がプチッと弾け、口の中いっぱいにさくらんぼの甘みと果汁が広がりますよ◎佐藤錦の旬は短く、6月中旬から7月初旬までの限られた時期にしか出回りません。
佐藤錦についてより詳しく知りたい人は、ぜひこちらも合わせてチェックしてくださいね♪
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※2024年4~6月のデータ”まるで赤い宝石ルビー”紅秀峰
紅秀峰は、佐藤錦を超えるさくらんぼを生み出すべく開発された品種で、生産者からは期待を込めて「ポスト佐藤錦」と呼ばれています。山形県のさくらんぼの中では比較的新しい品種ですが、美しい外観と豊かな甘みを兼ね備えた品質の高さから、すでに人気品種となっています。
そんな紅秀峰の味わいは、甘みが強く濃厚で、食べ応えバツグン◎佐藤錦よりも果肉が硬くしっかりしている分、サクッとした心地よい食感があり、日持ちも長く楽しむことができます。旬の時期は佐藤錦より少し遅く、6月下旬から7月上旬頃にかけてです。
紅秀峰についてより詳しく知りたい人は、ぜひこちらも合わせてチェックしてくださいね♪
紅てまり
紅てまりの味わいは、強い甘みの中に程よい酸味も感じられ、非常に濃厚です。また紅てまりは10g以上の大粒で、そのまま食べても美味しく食べ応えバツグンですが、果肉がそのまま残るシロップ漬けや、軸を取ってタルトに使っても見映えします。ごろっとした紅てまりならではの食感や濃厚な味わいは、様々な調理法に活用できますよ。
紅てまりはさくらんぼシーズンの後半に旬を迎える晩生種で、7月以降に出回ります。この時期はちょうどお中元の時期にあたるため、日頃お世話になっている人への贈り物としてもおすすめですよ◎
紅てまりについては、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください◎
紅さやか
紅さやかは、佐藤錦とセネカの交配によって誕生した品種で、6月中旬から下旬にかけて旬を迎える早生種のさくらんぼです。果実はやや大粒で、可愛らしいハート型をしています。結実したての頃は果皮が紅色で少し酸味が強く、収穫後期になるにつれ黒っぽく濃い色へと染まり、糖度が増していくのが特徴です。
そんな紅さやかの味わいは、甘みと酸味のバランスが良く、さくらんぼらしい甘酸っぱさを感じさせます。果肉は硬すぎず柔らかすぎず程よい食感で、果汁をたっぷりと含み非常にジューシーです◎
紅さやかについては、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください◎
紅きらり
紅きらりは、さくらんぼの中でも珍しい自家和合性の品種です。山形県園芸試験場が平成元年に交配した、比較的新しい品種です。果実の大きさは8~9gと大き目サイズで、酸味が少なく甘味をしっかり感じられます。
旬の時期は6月下旬頃で、ちょうどさくらんぼ全体の最盛期に食べ頃となります。しかし佐藤錦や紅秀峰などに比べるとまだまだ生産量が少なく、購入できるチャンスは限られています。
紅ゆたか
紅ゆたかは、ビックとC-21-7の交配から選抜育成された品種で、紅さやかと同じ6月中旬から下旬に旬を迎える早生種です。果皮の色づきは濃く鮮やかで、成熟するとアメリカンチェリーのような深い赤色に染まります。
平均6~9gほどの大粒で、糖度は18~19度前後でさくらんぼの中でも特に高く、しっかりと濃厚な甘みを感じられます。また果肉は柔らかくとろけるような食感をしており、口いっぱいに広がる甘みも相まって、まるでスイーツのような独特の味わいを楽しめますよ◎
紅豊については、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください!
南陽
南陽は、山形県農業試験場置賜分場において昭和32年に「ナポレオン」を自然交配させ、そこから得られた実生を育成した品種です。旬の時期は産地によって異なり、誕生の地である山形県では6月下旬頃に収穫を迎えますが、北海道では7月中旬以降となっています。
味わいは、さくらんぼらしいフレッシュな甘みが特徴的で、食べた後も口いっぱいに爽やかな風味が残り続けます。生でそのまま食べるのはもちろん、果肉を丸ごと使ったシャーベットやスムージーに加工しても、さっぱりとして美味しく頂けますよ。
南陽については、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください◎
山形県は日本一のさくらんぼ産地
山形県は、佐藤錦をはじめとする多くの品種を栽培している、日本一のさくらんぼ産地。
ここでは、そんな山形県のさくらんぼ栽培について、生産状況や県内でも特におすすめの産地を見ていきましょう!
国産さくらんぼの約7割が山形県産
山形県のさくらんぼの生産量は年間約18,300トンで、全国シェアは73.9%を占めています。つまり、国産さくらんぼの約7割は山形県産となっており、まさに日本を代表するさくらんぼの名産地といえます。
また山形県はさくらんぼの栽培面積でも全国1位で、山形県全体の約0.3%はさくらんぼ農園となっています。この広大な栽培面積と生産者たちのたしかな技術により、現在も新たなさくらんぼ品種が県内各地で開発・育成されています。
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※2024年4~6月のデータ山形県におけるさくらんぼ栽培の歴史
さくらんぼは日本に昔から存在していた果物ではなく、明治元年に渡来してきました。当時は日本全国で栽培がスタートしましたが、山形県以外の場所では失敗に終わってしまいました。
さくらんぼはとてもデリケートな果物のため、霜害や梅雨、台風などによる被害が顕著にあらわれます。山形市を中心とする村山地方の平野部は、周囲を高い山に囲まれた盆地になっており雨、雪ともに少ない地形です。この地形がさくらんぼを栽培するために最適だったため、山形県はさくらんぼの生産地としてその名を馳せることになりました。
山形県で美味しいさくらんぼが育つ理由
山形県はさくらんぼ栽培に適した環境に恵まれ、古くから美味しいさくらんぼの産地として有名です。そんな山形県の気候や風土には、以下のような特徴があります。
- 寒暖の差が大きい気候
- 適度な降水量
- 十分な日照時間
さくらんぼは寒暖の差が大きい環境が好みであり、日中の温暖な気候と夜間の涼しい気候が必要です。これにより、果実の色付きや糖度の向上が促されます。
またさくらんぼは水はけの良い土壌を好みますが、もちろん水分も必要です。適度な雨はさくらんぼの木に栄養を与え、生育を助けます。さらに十分な日照が確保されることで、太陽の光をたっぷりと浴びた、甘くて美味しいさくらんぼが実ります。
さがえ西村山地域は”紅秀峰の里”寒河江市を含むさくらんぼの名産地
JAさがえ西村山が位置する地域は、四方を山に囲まれた盆地で季節や昼夜による寒暖差が大きな地域。
かつて清流日本一にも選ばれたこともある寒河江川や、山形県の物流を支えた最上川など、雪解け水をおおきく蓄えたきれいな水源があることに加え、紅秀峰の品種改良が行われた園芸農業研究所(旧県立園芸試験場)など、より美味しいさくらんぼをもとめた県・生産者の研究が積み重なってきた地域です。
「たきぐち果樹園」は、山形県東根市のさくらんぼ狩りスポットです。ペット同伴OKなので、愛犬と一緒にとれたてのさくらんぼを思う存分楽しめますよ◎有機肥料を中心に、化学肥料など使用した安心安全なさくらんぼがたわわに実り、収穫したその場で採れたてを存分に味わえます。
「今野観光果樹園」は、山形県天童市のさくらんぼ狩りスポットです。4歳以下のお子さんは無料で入園でき、とてもお得!家族みんなで思う存分、さくらんぼ狩りを楽しめますよ◎園内では有名品種の佐藤錦や
紅秀峰から、北光や高砂などのレアな品種も食べ放題です。
「三泉観応さくらんぼ園」は、山形県寒河江市のさくらんぼ狩りスポットです。寒河江市はブランド産地として名高い地域で、園内では食べ頃を迎えた少しリッチなさくらんぼの味を堪能できますよ◎寒河江駅から車で10分とアクセスも良好です。
寒河江市でのさくらんぼ狩りスポットは、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください♪
さくらんぼを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!